愛、桜

成美と心海も前にいるメンズを見ている。女子が遅くやってきたのは、この仕組まれた席に座るためだったのだ。亜美だけでなく、他の三人も狙いを定めここに来ていたのだ。優は女のしたたかさに呆気に取られていた。
しかし、そう思っていたのは優だけのようで、他の三組はすぐに打ち解けはじめていた。
「これ、一緒に歌おうよ」
亜美は本当に積極的だった。空助の手を取り、自分の隣座らせた。それから持っていたカラオケのリモコンの画面を見せ、何を歌いたいか積極的にアピールした。
「お、これ。いいねー」
空助の中に断ると言う考えはなかった。
そして歌い始める。順番に。それも席を立ち、モニターの前で歌っている。結果、席はシャッフルされ、みなみが優の隣に来ていた。
「ねぇ、なんで歌わないの?」
みなみは優の手のひらに、自分の手のひらを乗せ言った。