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―――――夜





「…翔太、梨乃ちゃんの調子どう?」

「良いとは言えねぇなぁ...
…美波ちゃんはどうした?」

「美波はもうすぐ退院するよ。
…梨乃ちゃんのこと心配してた」

「そっか...」


夜のバイトが終わり、俺達は家に向かっていた。




「なぁ、雄大...
大切な人が死ぬって、どんな感じなんだろうな」

「――――そんなの知らねぇよ。
考えたくもねぇ」

「…俺と梨乃が出逢ったのは、入学式だった。
それから色々なことがあって今俺はここいる。
んじゃあもし、俺と愛美が出逢わなかったら、今の俺はどうなっていたんだろう...」

「―――お前のことだから、それはないな。
…お前と梨乃ちゃんは絶対に出逢う運命だったんだよ、きっと」

「なんでそう言えんだよ」

「お前らさ、お互いがお互いを必要としてんだろ?
そんな姿とか見てたら、誰だってそう思うよ」


雄大の言葉は、とても支えになった。




「大切な人が死ぬってことは、その人がいた分だけの幸せが消えるってこと。
その人がいた幸せ分だけの...絶望感があるんだろうな...」






…梨乃が死んでしまったら、梨乃がいた分だけの幸せが消えてしまうということ。


梨乃がいた幸せ分だけの...絶望感があるということ。



その言葉は、とても恐ろしかった。

だけど、正しいことを言ったのに間違いなかった...




「…今、梨乃ちゃんはお前が必要なんだよ。
…できる限り、隣にいてやれ」

「――――お前、今日真面目だな。
…ありがとう」

「俺はいつだって真面目だっての!」



俺達は笑った。







ありがとう、雄大――――――



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