レベル・ラヴ

 ぼうぜんとしたまま抵抗すらしなかった私は、エルシルド様に与えられた王宮内にある部屋に連れて来られた。
 真っ暗な部屋のベッドの上に降ろされ、目の前にはエルシルド様が立っている。

 私ももう子供ではない。
 つがいのいる姉メイド達から色々な話をきいている。

 春の来たオスがメスを部屋に連れ込む理由なんて1つしかない。
 ただ、その相手が自分だということが信じられないのだ。

 どんなに想っても、私はエルシルド様のつがいにはなれない。
 オスがつがいの相手に選ぶのはより良い子孫を残す本能からか、いい血統を選ぶ。
 下級血統の私では本能から外れるし、なによりエルシルド様の一族の誰も私を認めないだろう。
 そういった色々な理由から、私は選ばれることがないことを知っている。
 でも、たった一夜の情を交わすことは出来る。

 エルシルド様の性的欲求を満たすだけの存在。
 私にはまだ春が来てないので、子を宿す可能性は低い。
 後腐れない相手として、私は十分選ばれる理由はある。

「エレーナ・・・すまない・・・」

 ずっと申し訳なさそうな表情だったエルシルド様。
 謝られて確信が持てた。
 他のオスと情を交わしたメスがつがいに選ばれることはほとんどない。
 私がエルシルド様と一夜を過ごせば、もうつがいの相手を探すのは諦めるしかないだろう。

 欲情を抑えられない苦しみはオスにしかわからないと言う。
 受け入れたい気持ちと、出来ない気持ちが複雑に絡み合う。

 私だってメスに生まれたからには、子を産みたい。
 でもエルシルド様と交われば、もう子は望めないだろうし、期待して王宮に送り出してくれた一族を裏切る行為でもある。
 伸ばされた手を振り払うことはしなかったが、謝るエルシルド様に何も言うことが出来なかった。

 初めてのキスはすごく激しく情熱的だった。
 激しく求められていることが伝わるような熱いキス。

 相手がエルシルド様だということがすごく幸せで、苦しい。

 体をまさぐる手はとても急速なのに、気遣ってくれているのかひどく優しい。
 春がまだ来ない私の体はまだ成熟しておらず、凹凸に乏しく色気もない。
 それでもエルシルド様は興奮しているようだった。