レベル・ラヴ

 寮のお風呂は天然の掛け流し。
 裏にある山からお湯を引いてすぐ横の川の水を混ぜている。
 おかげで、冬は暖かく、夏は少し冷たい。

 入浴場は3階にあるので、どこからも覗けない為、露天風呂になっており、景色が楽しめる。
 浴槽からあふれた水はまた川に合流していくので、暖かい水を求めて下の水黙りで騎士達が練習後に顔や手を洗ったりする。
 そこで出会いもあったりするのだけど、わざと外側に行かない限り下は見えないので、普通に入浴を楽しむのなら出会いは無関係だった。

 この建物はL型で、入浴場は下の短い線の端にある。
 今みんなが騒いでる騎士達が通っている道は縦の長い線沿いになるので、みんなの歓声は少し遠くに聞こえた。

 春が来たメスも、まだ来ていないメスも選んでもらう為にアピールする。
 それが普通できっと私もエルシルド様を好きになっていなかったら、みんなに混じっていただろう。

 ゆっくりと浴槽に身を沈め、空を見上げる。
 暁の空が美しい。
 
 目を閉じると頬に涙の伝う感触がする。
 想っても無駄な恋が切なく苦しい。

 生まれや血筋は生まれ持ったもので、最初から決まっている。
 自分の努力しだいでかえることは出来るが、それすらままならないこともあるのだ。

 私は血筋なんてものがあるのが不思議なくらい薄まった血筋の一族に生まれた。
 でも、この世界で、血筋などない者だっている。
 種族すらわからない者も・・・。

 この広い世界で私はエルシルド様と出会った。
 エルシルド様に恋をしたことを後悔したことはない。

 恋は切なく苦しく・・・人を想う喜びを与えてくれたのだから・・・。