寮には彼女達を守るガーディアンが警備を担当していた。

 いくら男子立ち入り禁止にしても、忍び込もうとする輩はいる。
 そういった者からガーディアンは彼女達を守っているのだ。

 警備しているガーディアンの1人を捕まえてエレーナを呼び出すように頼むと、そのとたんガーディアンの表情が硬くなった。

「お受けできません」
「受けられない? それは何故だ?」
「戻ってきた彼女は泣いていました。私の職務は彼女達を守る事、彼女達に害なす者はすべて排除します」

  彼女の言うとおり、ガーディアンと言う職業は女性を守る為にある職業だ。
 どんな相手であれ、職務上であれば権利は重視される。
 昔、オスは発情期になると、つがいにする相手でなくても目の前にいるメスを無理に襲いまくっていたせいで、片親の子が生まれ、人口が急激に膨れ上がった。

 無理に襲われるメス達の声もあり、ガーディアンという職業が生まれたのだ。
 彼女達はメスをオスから守る事。
 
 つまりガーディアンはオレが彼女を傷つけたと言っているのだ。
 それは事実ではあるが、真実ではない。

 オレは彼女をつがいの相手と決めている。
 子を成せば、当然自分の子としてお披露目をするつもりだ。

「ほんの少しの誤解が生じただけだ。それは私のミスのせいではあるが、その誤解を解きに来た。エレーナに会わせてくれ」
「誤解? 蒼の騎士団副団長の貴方とエレーナとでは身分も血統も違う。その貴方を相手にエレーナが傷つかないとは思えません」
「エレーナを妻とするのに血統や身分は必要ない」

 オレの言葉に初めてガーディアンの表情が崩れる。
 それだけ驚くことを言ったのだ。

 普通、オレの身分ならエレーナは遊び相手だろう。
 妻にするなど、まずありえないことなのだ。
 ガーディアンが驚くのは当然の反応だった。

 しかし、ガーディアンはすぐに冷静を取り戻す。
 難関と言われるガーディアンになれただけはある。
 ガーディアンは一呼吸置いて口を開いた。