料理を待つ間に、他愛もない話が 尽きることはなかった。 『ビックリしました。 あんなとこで泣いてるんだもん。』 『…ははは。 恥ずかし…忘れて…?』 『…忘れません。だって…』 君はそう言いながら 少し嬉しそうに笑った。 このコの向ける眼差しが 自分の胸の奥をざわつかせる。 出会ったばかりで、しかも 高校生となんて… 本気になるわけがない…。 でも…、 私の今の隙間だらけの心に 入り込むには充分な存在だったのかもしれない。