「・・・何よ」
部屋を出ていこうとする彼女の手を、思わず掴んでしまった。
不可抗力だ、体が勝手に・・・などという戯れ言が通じる相手ではない。さて、どうする。
「いや、その・・・」
「何で出来杉くんのところに行くの邪魔するの?」
僕の理由を促す声。
この際はっきり言うしかないのか?
ごくり。
「好きだから」
きょとん。
ああ、コイツ、今世紀最大にイタイ奴だって思われてる。
何を急に告白に至っているんだ?
それにしてももう少し格好よく伝えたい。
一時の沈黙。
彼女がふわりと笑った。
「知ってるよ」
「え?」
きょとん。
おいおい、僕の脳内はすっかりパニックだ。
知ってるよ・・・って、僕が君を好きなことを?
「な、んで」
「見てればわかるよ」
「見てたのか?」
「な!自惚れないでよね!」
何だ、このかわいい生物。
僕を悶え殺す気なのか?
後日、僕は全てを悟った。
なにもかも、彼女の手中だったのだ。

