money or love

水曜日、凄く清々しい。

「いってきます。」

「いってらっしゃい、コウくん。しばらく…居ていいかしら?」

「どうぞ。あかね、行こ。」

「う、ん…」



いつもの通学路。誰かと一緒なんて初めてだ。

「出会って2日で付き合うとか…あかねって大胆だよね。」

ふっ、と笑うとむっ、としてきた。

「私達入学式でも喋ってるんだよ?」

「初耳。」

「コウくん仕事投げ出したじゃん。」

あー…確か仕事が入ってたんだっけ…。

『先生、実は今日叔父の三回忌なんです。お世話になっていたので…行きたいんです。』

『困ったわねぇ…代表の挨拶だけでも…。』

『だめ…ですよね。』

確かこの時俺は先生に色目使った………。

「で、私に仕事押し付けたでしょ?」

『分かったわ、誰か…。』

『あの…、佐藤先生いらっしゃいますか?』

『貴方は…新入生?』

『はい、これ………挨拶に使うとか何とかで…宮野先生から…。』

「その時はコウくんにイラついた。」

『え、私がっ!?』

『彼、どうしてもダメなのよ…。』

「でも、その後……。」

『ごめん、お礼なら後でする。』

「私のほっぺにキスしたの。」

「普通嫌じゃないのかよ。いきなりキスされて。」

俺が言うことじゃないけど。

「嫌じゃなかった。」

それから小さく「コウくんは私の太陽だもん。」と言った。