ーーそれなのに、と彼女はギュッと拳を握りしめた。
震える声を抑えるように、ゆっくりと息を吐いた。
「……ある日の夜、珍しく暁から電話があって。『莉乃の応援があれば俺はどこまででも頑張れるから』って言われて。私も『ずっと暁だけを応援する』って……それが彼との最後の会話だった」
「最後……」
「……次の日の朝、暁はその日に限って忘れ物をして十分くらい遅く家を出たの。急いで学校に向かう途中に事故にあった」
「忘れ物……その日に限ってなんて、」
彼はタイミングが悪かった。
本当に偶然が重なった事故によって、彼女は大切な人を失ってしまったんだ……。

