何も言えなかった。

親長い時間を過ごしてきたはずのひまりは、今までそんな素振りさえ見せなかった……と思う。

隠していることがあるとは思っていたけれど、まさかそれは、僕がずっとあり得ないと思って可能性にも入らなかった事だった。


僕はどうすれば良かったんだろう。


困り果ててただひまりを見つめることしかできない僕に対し、涙を止めたひまりは何かを吹っ切ったような表情になった。



「右京が好き」



ーー決定的だった。



「でも届かないのは分かってる。……あたしも、右京も」



今日は帰るね、と僕の言葉を待たずにひまりは部屋を出ていった。