階段をゆっくりと上がる。

途中、彼女が降りてきたらどうしようと思いヒヤヒヤしたが、無事に屋上の入り口のドアまで来た。


立ち入り禁止と書かれた、色褪せた紙が貼ってある。

それに構わずドアノブに手をかけた。


……実はこのドア、鍵はかかっていない。
でも、たてつけが悪くなっているせいで、ノブを回すだけでは開かないのだ。

だから他の生徒はこの場所に来ることはないけれど……僕はこのドアの開け方を知っていた。


ドアノブを回しながら、ドアの右下部分を足で数回蹴る。

誰に教えてもらったか分からないこの方法を試してみると、ギィ、と鈍い音がしてドアが開いた。