このCDには、付属されているはずの日本語訳の歌詞カードがなかった。 最初からないわけではないだろうし……。 それを彼女に言うとそっか、とあっさりした返事が返ってきた。 「肝心のものがないけど、いい?」 「いいわ。貸してもらえる?」 「うん」 そう言ってCDを渡す。 彼女はそれを大事そうに鞄に入れた。 ぼんやりと彼女の行動を眺めていると、突然パッと彼女が顔を上げた。 目が合う。 「ありがとう、右京君」 その瞳からは先ほどのような冷たさは感じられなかった。