「じゃあ……今日僕の家に来る?」



半分冗談で、半分本気だった。

ただのクラスメイトとはいえ、男子の家に行くなんて少しくらいは躊躇うはずだ。
しかもそれは、(彼女は気づいていないけれど)自分を好きな男なわけで。



「右京君が良いならぜひ行きたいわ」



僕だってそれなり(いや、相当)にドキドキしながら言ったのに。

異性の家ということを気にしていられないほどに切羽詰まっているのか、それとも本当に僕のことなんか何とも思っていないのか……。

笑顔で即答した彼女に、表には出さないけれどショックを受ける。


その時、タイミング良く授業の始まりのチャイムがなってじゃあまた放課後に、と言って彼女は自分の席に戻っていった。

僕は嬉しさと少しの悲しみが入り交じって、何だか複雑な気持ちにさえなった。