「気にしないで。いつでも貸すから」 自分がいかに単純な人間なのかを思い知る。 また彼女と話せたことが嬉しかった。 また屋上で彼女と過ごすことができるんだ。 そう思った。 「今日は金曜日だから、月曜日に渡すよ」 僕の言葉に彼女はえっと……と次の言葉を躊躇っていたみたいだったけれど、顔の前で手を合わせて言った。 「どうしても今日貸してほしいの」 「……今日?」 聞き返すとコクンと頷いた。 今日彼女にCDを渡すには。 僕は少しだけ考えるーーフリをした。