それは今日二度目の突然だった。



「右京君」



聞き慣れた呼び方と声。

この教室で右京はただ一人しかいないけれど、僕に向けられたものだと気づくのには少しの時間がかかった。


初めてだったからだ。
彼女が教室で声をかけてくれるなんて。

ひまりの悪戯よりもはるかに大きな驚き。



「……椿さん、」



読んでいた本をパタンと閉じる。

彼女はもう一度右京君、と呼んだ。