これは……そうだ。


洋楽好きの父さんの大量のCDコレクション。

何の気なしに聴いた曲の中に、確かにこの曲はあった。



「……椿さんは、洋楽が好きなの?」

「そういうわけでもないわ。だって、何て歌ってるのか歌詞の意味も分からないんだもの」



そう言って彼女は肩をすくめた。

それもそうだ。
彼女は英語が苦手だって、ついさっき聞いたばかりだし。

思わず吹き出してしまった。



「きっと、英語が苦手な私は意味なんて知らなくて良いってことよ。メロディーが気に入ってるからそれで十分だわ」

「椿さんって……けっこう適当な性格だね」

「それ、褒めてないでしょう?」