さりげなく彼女の隣に並ぶ。

夕日の方を向くと、視界の下の方、グラウンドで野球部が練習しているのが見えた。



「毎日屋上にいるの?」

「この場所を見つけてからは、毎日かな」

「……何をしに?」



普通に聞けばいいものを、変な間を挟んでしまっただろうか。

心配になったけれど、彼女は特に気にした様子でもなかった。



「何かがしたくて屋上に来るわけじゃないの。ただ、一人になりたくて」

「……音楽を聴きながら、ぼんやりと過ごすってことか。そういう時間も必要だよね」



――特に彼女は。


教室にいたら誰もが彼女を放っておいてはくれない。

無理してる感じはなさそうだけど、やはり大変なんだろうな、とは思う。