「ねぇ、名前聞いてもいい?」 彼女が言った。 ちょっと考えた後、 「……右京」 僕は答えた。 「右京君?そんな名字の人いたかな?クラスの人の名字は全部覚えたつもりだったのに……」 「まぁ、僕目立たないし」 自分で言って少し悲しくもなるけれど。 彼女は本当に申し訳なさそうに謝ってくれて、チクリと良心が痛んだ。