何故ならそれは、無いと思っていた“Ring”の歌詞カードだったからだ。
そっと手にとった。

心臓の音が煩くなっていく。

ドキドキしながらカードを読んだ。



「ーーっ、」



ほんの数秒後だったように思う。

ほぼ無意識に身体が動いたのは。



「お兄ちゃん?」



バタン!

後ろ手に美都の声を聞きながら、でもそれには応えず勢いよく家を飛び出す。


ーー行かなきゃ、って思ったんだ、きっと。


気づいたら僕は、彼女のもとへ走り出していたーー。