「あれがいいの!パパとママとお兄ちゃんかいたのに……」
「ちょっ、美都、」
「お兄ちゃんじょうずだねって言ってくれたもん……」
ん?そんなこと言ったっけ?
そんな疑問を打ち消して美都の頭を撫でる。
このタイミングで、買い物に出かけた母さんが帰って来ないことを願った。
勘違いされて、父さんに報告されてはたまらない。
「……分かった。お兄ちゃんが探してやるから」
だから泣き止め、と目線を合わせると美都はコクリと頷いた。
本当はそんな気分じゃないけれど……泣きじゃくる妹のため、ゆっくりと立ち上がった。

