瞬間、彼女が振り向いた。 僕を見るとグイッと涙を拭って、笑顔を作った。 また締め付けられるようにドキドキする。 「……同じクラス、だよね?」 しばらくの後、先に口を開いたのは彼女だった。 「……あ、うん」 「ごめんなさい。まだ全員の顔と名前が一致しなくて」 「いや……こっちこそ、ごめん」 何て言おう、と考えて一番に出たのは謝罪の言葉。 彼女はどうして謝るの?と不思議そうに首をかしげた。 「えっと……何か、邪魔したみたいになったかと思って」