「……そろそろ帰るね」
それはいつも通りの流れだった。
惜しみながらも彼女からゆっくりと離れる。
「今日はありがとう、ごめんなさい」
「僕の方こそ、ごめん」
「……それは、何に対して?」
「……」
気のきいた言葉の一つも言えなくて、といったところだろうか。
話してくれてありがとう、という言葉に置き換えた。
「椿さん、また明日」
ドアに向かう彼女の背中に呼びかける。
ーーまた明日。
僕は心からそう思っていた。
「右京君」
ピタリと足を止めた彼女がくるっと此方に向いた。
「私、転校するの」
「え……?」

