あたしの恋

「あたし翼がいないと…」

「大丈夫、ちえ」


あたしに寄り添って頭をなでてくれる。



「お父さんもお母さんも…翼もいなくなるの?」


声が震えた。


翼の手が止まる。



「ごめん…こんなつもりじゃなかったのに。普通に卒業して普通に結婚して子供作って…そんな人生見てきたのに」



「つばさ…」

「こんな自分勝手な俺…許してくれる?」


「無理…あたしどうしたらいいの?」

「身近な人と幸せになって」


そう告げて翼は屋上を出て行った。

あたしの足は翼を追いかけない。