うちあげ花火


と、思いきや

やはりこの行事は違った。


「行ってくる」


父親がコンコンッと私の部屋のドアを

ノックして、低い声で言った。


「いってらっしゃい」


彼と飲みに行った日。

しょんぼりと帰ってきた私に

父親は何も言わなかった。


次の日もその次の日も

今まで通りであった。


そういうもんか。