スーツを着ているせいか いつもより彼が大人に見えた。 もう社会人でもいけるんじゃないかってぐらい。 …そんなのいやだ。 置いて行かないでほしい。 先、越されるのがこわい。 彼の大きな背中を見て、そう思った。 「中原さん」 私の作ったポスターを持ったまま先生は真剣な顔で言う。 「あなた、編集者の中でも取材より デザイン系のほうが向いているかもしれないわね」