うちあげ花火


待合室に戻るとまさかな奴と遭遇した。

彼だ。


「え…」


「え、なんで…」


お互い、まさか精神科に来るはずがないと思っていた人が居ると驚いた。


「千晴ちゃん、精神科通ってたんだ」


その言葉が哀れみに感じ、向きになって否定した。


「違う。今日が初めて。もう来ない」


院内でこんな事言っていいのかと言ったあとに思ったけど

聞かれていてもカウンセラーではなく窓口の人だしいいや。


「そっか。よかった」


そう言って、彼は私に微笑んだあと

窓口にカードを提出した。