うちあげ花火



「なんだそれ」


マンションのロビーに

私を待ち伏せてた時みたいに

苦笑している彼が立っていた。


「君たち俺がいないと

このドア開かないんだよ」


「あはは、知らなかった」


雪は“はい!”と自分が持っていた

アイスが入っているビニール袋を渡す。


「んじゃ、私はエレベーター使うんで

頑張ってふたりで階段で上がってきて」


雪はヒラヒラと手を振り

エレベーターの中に消えてゆく。