私は見事、本命であるファッション誌“ルータ”の編集部に就職ができた。 これもこつこつと頑張ったおかげ。 これで自立できる。 あの嫌な家からも出られる。 そう思っていた。 私は社会の過酷さを全く知らなかった。 「中原!ここ終わってないじゃないか!」 「えっ!」 そこやんなくていいってさっき言ったじゃん…。 「“えっ”じゃない。早くやれ」 「すいませんでした」