「あ、あ――」

 恐怖に目を見開き、顔からは完全に血の気が失せている。のろのろと痩せた腕を上げ、ハバキの後に立っている姫夜を指さした。

「ワ……ワザ……ヲギの民がこ、こに――」

 姫夜はぎょっとしたように老人を見つめた。老人はぶるぶる震えながら、しわがれた声でとぎれとぎれに呟いた。