「いつからそこにいた」

 鋭い声が姫夜を覚醒させた。顔をあげようとして、硬直した。
 目のまえに、血濡れの鎧を着た男が立っている。
 頬にぴたりと白銀の剣がおしあてられていた。
 一瞬、神門を《跳ぶ》ことに失敗したのかと思い、すばやくあたりの景色をたしかめた――姫夜は大きな石の柱に、ぐったりと背をあずけるようにしてすわっていた。
 それは石室ではなく、天を衝くようにそびえたっている一本の柱で、そのまわりをぐるりと取り囲むように、細長い石が地面に放射状に敷きつめられている。