「うわああっ」

「助けてくれえっ」

 ハバキは姫夜を背にかばうようにして立ち、剣を抜きはなった。
 ぬめるように刃が光る。だが妖獣はかるがると二人の頭上を飛び越えた。
 あっというまに、磐座の上に降りると、供物を捧げるかのように、口にくわえていたアゲハのからだをおろし、むきなおって頭をさげ低くうなり始めた。

「おのれ――」