禍津姫戦記

「命まで取ろうと云うのではないから案ずるな」

 つかみどころのない謎めいた答えに、ハバキは姫夜の瞳の奥底の蛇神をにらんだ。

「そなたが俺の剣に宿ると姫夜はどうなる?」

「カツラギの王よ。われらにとっては、宿るのが剣だろうと、人の子の体だろうと大差はない。だがそなたらがわれらに呼び掛けるには、憑代が必要だと云うことだ」