「驚いてなどおらぬ。たとえ熱にうなされていようと、おまえと寝首をかきにきた間者の区別もつかぬほど俺は間抜けではないぞ」 ハバキはしんどそうに起きあがって、あぐらをかいた。 「そんなことなら昼間のうちに云えばよかったものを」 暗闇のなかでハバキはじろりと姫夜をにらんだ。