ハバキは庭で立ち尽くしている姫夜をするどい目でみつめた。長いぬばたまの髪に縁取られたおもざしは、透き通るように白く、唇だけが冴え冴えと赤い。 (あれで――舞いなど、舞えるのか。今にも気を失いそうだ) 姫夜はまるで細い崖のふちに立って、あやうい均衡をどうにか保っているように見えた。