禍津姫戦記

 待つ間に、広間に面した庭に松明の火があかあかと灯され、昼間のように明るくなった。
 姫夜の心のうちでは憤りが炎のように燃えさかっていた。とんと裸足で庭に降り、静かに瞑目し、怒りが去るのを待った。館に充ち満ちている気がゆっくりと姫夜の身に染みてゆくにつれ、ひとつの思いが突き上げてくる――。

(なにもかも失うたわけではない――わたしにはワザヲギの舞いがある)