禍津姫戦記

「姫夜、クチナワにおのれを明け渡すな。俺を見ていろ」

 姫夜はうなづき、懸命にハバキの目をみつめた。

「……いる。すぐ、そばに」

「どれぐらいそばにだ」

「ハバキと同じぐらい、そばに……わたしにぴったりと寄り添って、鎌首をもたげてそなたを見つめている」