禍津姫戦記

 姫夜は頬を打たれたようにぎくりとした。だが、歯を食いしばって云った。

「そうかもしれぬ。だからといって兄を助けないわけにはいかない!」

「ならば俺も連れてゆけ」

「だめだ。それはできぬ」

 姫夜は無意識のうちに胸の紅玉をさぐって握りしめ、ハッとした。