姫夜はあらためておのれのからだを見おろした。肩から胸にかけてぬめるように銀色の疵痕が残っている。

「ヤギラは今、どこに?」

「今は館にいる――すでに人の姿に戻っている」

 ハバキはためらうように押し黙った。それから低い声で云った。

「人に戻る前に、ヤギラの口を借りてモモソヒメが云った。伊夜彦をとらえていると」