禍津姫戦記

 ハバキの後にひっそりと影のごとくうずくまっていたクラトがおもむろに顔をあげた。

「お言葉ながら。若長のかわりにお答えしてもよろしいか」

「なんだ。云ってみろ」

「キビが仕掛けてきて、かれこれひと月。こたびは結果だけを見れば勝ちにござったが、深手を負った者も多く、有り体にいえばこちらも崖っぷちにござりました」