禍津姫戦記

「姫夜がこの国を言祝げば、オオミタカラはそれを信ずる。それが国の力となる。それが俺の望みだ」

「今のところは、でございましょう」

「そうだ」

 ハバキはむっとしたように黙ってしまった。那智は脇においた筺から巻紙を取り出した。

「それでは西から戻った商人の話をご報告申し上げます」