禍津姫戦記

「あの方に、わたくしのささやかな智恵など必要ないでしょう」

 那智はやんわりと否定してから、逆にたずねた。

「あなたさまこそ、姫夜さまになにをおのぞみなのです」

 ハバキはじろりと那智をにらんだ。

「いやなことを聞く奴だ」

「御意」