禍津姫戦記

 そしてハバキの首に飛びついて、ぎゅっと抱きつくと、衣をひるがえして嬉しそうに行ってしまった。

「あんなお顔をされてはかないませぬな」

 入れ違いに報告をしにやってきた那智が、走っていく後ろ姿を見送って苦笑した。

「いささか神司としての威厳には欠けるがな。姫夜がなにをするのか見てみたい。こたびは那智も下手に入れ知恵はするなよ」