禍津姫戦記

「姫夜さまはそのようなことでおびえるお方ではありますまい。それに、わたくしも姫夜さまに一日も早くこの里を気に入っていただきたいと思っておりまする。小さい里ですが、わからぬことがあれば、何なりとお聞きくださりませ」

「小さくて悪かったな」

 まわりのものがくったくのない笑い声をあげた。みなこの里が好きなのだ。
 姫夜も少しだけほっとして、微笑んだ。
 と、ずんずんと入ってきてハバキの正面にどかりと腰を下ろした若者がある。