禍津姫戦記

「ハバキ、頼みがある」

 汗みずくで館に戻ってきたハバキに、姫夜がおずおずと切り出した。

「頼み? 改まってなんだ」

「歌垣に出たい。一夜の相手を、とかではなく、舞いを舞いたいのだ」

 姫夜は目を輝かせ、真剣な声で云った。ハバキは汗に濡れた髪をかきあげた。