「ああ、どうしましょう、あたし、なんにもお礼にさしあげられるようなものがなくて」

「礼など気にしなくていい。それよりもし嫌でなかったら」

 姫夜はためらいがちに云った。

「想う相手から返歌がもらえたら、それをあとでこっそり教えてもらえるか?」

 アゲハは意外そうに首をかしげた。