禍津姫戦記

「文をもらう相手を間違えていないか」

「先刻話したアゲハだ」

 姫夜はそれでも赤くなって、ハバキに背をむけ、文をさっと盗み見た。

「なんと書いてある」

 ハバキが後ろからのぞき込んだので、胸元に押し当てた。

「だめだ。もしアゲハの想い人がハバキだったら――見られたくないだろう」

「なかなか思いやり深いことだな。だが見当はずれだ」