禍津姫戦記

「おまえは怒らせたほうが楽しいな」

 姫夜は頬を桜色に上気させ、ハバキをかるくにらんだ。
ふと、とまどいを含んだ声で云った。

「わたしはいつもそんなに沈んだ顔をしているか?」

「いきなりその歳で、見知らぬクニの神司となったのだ。無理もない」

 姫夜はうつむいた。しっとりと濡れた髪が肩に落ちかかる。