禍津姫戦記

 そういって笑ったハバキの顔には、疲れは微塵も見えなかった。
 クラトは黙って馬から降り、かわりに姫夜をのせた。

(これが、兄の云っていた命運……そうなのか?)

 姫夜はそっと手をのばし、馬の鼻面をなでた。馬は、応えるように軽く身をふるわせて歩み出した。
 そう、もう進むしかないのだ。