「殺されてもいい……ハバキになら」

 ハバキの大きな体がびくりと震えた。
 姫夜はなぜ自分がそう答えたのかわからなかった。
 それでもそう答えた瞬間に、心は安らいでいた。
 ハバキはくちびるをかみしめ、姫夜を抱いたまま、闇をにらみつけていた。
 耳が痛くなるほどにあたりは静かだった。山には鳥の啼く声もなく、星もまたたくことをやめたようだった。