禍津姫戦記

「わたくしの前では、もうすこしくつろがれてかまわぬのですよ。後でクマザサの薬湯でもさしあげましょう」

「お心遣いありがたく――では薬湯よりも、できればささをいただきたいのですが」

「御酒ですか」

 那智はすいとほそい眉をひそめた。

「はい、ほんの少しでかまいませぬゆえ」